本校二年目の安倍 堅介です。今年度は5年2組の子どもたちとたのしい社会科授業を目指し、学習をすすめております。本校社会科の理論のテーマでもあります「子どもが自ら社会と関わり続ける」姿にせまれるよう、共に学びをたのしみひたる姿勢で取り組んでいきたいと思います。
今回、「自動車の生産にはげむ人々」という小単元で実践を行います。5年生の社会科では国土の地形から農業、水産業、工業等の産業と学習の範囲が日本全体にまで広がっていきます。どうしても学習の主体である子どもたちと授業で扱う教材との距離が遠く、これまでの私の実践で教科書にある事例をそのまま学習するだけでは、子どもたちが社会的事象を自分事として捉えられない姿がありました。
授業者として身の回りの工業製品には携わる人々の願いや思いがこめられていることに気付いてほしい、社会の様々な立場の人の「あんなこといいな、できたらいいな」が未来の工業製品として形になっていることを感じてほしいと思っています。
そこで、本実践では
➀トヨタ自動車の方にこれからの自動車づくりプランを複数回提案する機会を設定することで、子どもたちが生産者の立場として工業生産に関わり、携わる人々の願いや思いをより身近に感じられるようにすること
②子どもたちがこれから求められる自動車を提案することで、当事者意識をもち工業生産に関われるようにすること
を大切にしたいと考えております。
➀は実社会の方へ提案するという目的意識があることで子どもたちの学びに切実感が生まれると考えます。また、提案の機会を複数回設定することで、提案→フィードバック→再提案という試行錯誤の過程を大切にして、より生産者側の苦悩にも目を向けられるようにしていきます。②ではこれから求められる自動車を提案することで、自分や家族が直接関わることであり、当事者意識をもち学びに向かうことにつながると考えます。
長くなりましたが、ここからは第1時についてお伝えしていきます。
第1時の目標
これまでの自動車づくりや性能の変化、世界の中のトヨタ自動車の立ち位置について考えることを通して、これからの自動車づくりを考えてみたいという思いをもつことができる。
主な学習活動
① これまでの自動車づくりや性能の変化を捉える。
② 世界の中のトヨタ自動車の立ち位置について話し合い、単元の主題(単元を通して子どもたちが行っていくこと)を設定する。
学びの様子
① これまでの自動車づくりや性能の変化を捉える。
まず、子どもたちに教科書にある1930年代~2020年代の自動車のデザインや生産方法に関する資料を複数提示しました。年代順に提示しなかったことで、資料を並び替える子どもたちの姿が見られ、時代とともに作られ方や性能(走れる速さや安全機能、自動化等)が向上していることを確認しました。資料に関して話し合う中で、自動車の作られ方がよく分からないと立ち止まる子どもの姿が多く見られました。
② 世界の中のトヨタ自動車の立ち位置について話し合い、主題を設定する。
前の活動では自動車の生産まで触れていたので、その後車はどうなるのか問うたところ、運ばれて売られるというやり取りから以下の資料を一部隠して提示しました。
T:昨年の世界の新車販売数です。
C:二位はフォルクスワーゲンで903万台だ。
C:一位はトヨタじゃない?
T:一位を見せますよ。
C:あぁー(多数の納得の声)
T:この結果を見て思ったことは?
C: トヨタが車で有名なドイツを追い越しているね。
その上でトヨタ自動車とフォルクスワーゲンの差が明確に捉えられるよう、以下の補足資料を提示しました。
T:2024年はトヨタ自動車が179万台多かったということです。2019年から見せますね。
C:えー、負けてる。(2019年を見て)
C:トヨタ自動車がマイナスだ。
C:追い越した。(2020年を見て)
C:うわー、すごい増えた。(2022年を見て)
T:この年は新しい車の開発を頑張ったらしいです。
C:あー、(差が小さくなった)下がってしまった。(2023年を見て)
C:2022年から差が小さくなってきているね。
C:まあまあ、でも一応トヨタが勝っているね。
C:このまま勝っていてほしいな。
T:そうだね。何かみんなでできることはないかな?
C:車をつくる?
C:それは現実的でないから車のアイデアをつくるのはどう?
C:トヨタへ応募してみるのは?
C:トヨタにアイデアを出してみたいな。
C:車の勉強をしたらできそうだね。工場の中も見てみたい。
C:考えて提案は嬉しいかも。
T:では、トヨタの方に相談してみてOKだったら実際に提案までしてみましょうね。
C:本当に?すごーい。
この後、自動車を提案するために自動車のつくられ方、つくっている人の工夫、今現在ある自動車について学んでいく必要があると子どもたちと単元の学びを計画しました。
日本の企業であるトヨタ自動車の現状を捉え、子どもたちの新車販売台数で世界一位を保ってほしいという思いが十分に高まったところで主題「これからの自動車づくりプランを提案しよう」を設定しました。
第1時の授業後、子どもたちにトヨタ自動車の方に提案できるようになったこと、今回はオンラインで工場見学ができることを伝えるとさらに今後の学習に対して前向きな様子が見られました。今回は社会の現状から切実な思いを引き出し高めることと子どもたちのやってみたいという思いの相乗効果で主題を立ち上げることができました。第2時は子どもたちが工場見学を通して、自動車のつくられ方や生産者の工夫等にどのように気づいていくのかをお伝えできればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
社会科 安倍 堅介
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