4年生「地域でうけつがれてきたもの」【神楽に学ぶ伝統の継承】③

 2月2日(金)2時間目 「神楽に学ぶ伝統の継承」第3時

 

 3時間目となりました。今回は、立福寺神楽保存会の会長、坂本さんに来ていただきました。子どもたちには、樅木神楽の話と比較しながら聞くことができるように、教室側面にこれまでの学びの足跡を掲示しておきました。

朝から、4年生の教室に行く(私は普段6年生の担任をしているため)と興味深そうに眺めていました。

 特に、今回は樅木神楽ではいろいろなことを変えながら継承されているのに対し、立福寺神楽は開催期日などを変えずに行われていることなどに立ち止まってほしいと思いました。そのため、樅木神楽の後に立福寺神楽との出合いの場面を設定した経緯があります。

 

 では、子どもたちが坂本さんとどのように関わっていったのかをご覧ください。

 

CC:よろしくお願いします。

 T :先日、樅木神楽の山村さんに来ていただいたところだったのですが、何と今日は!

CC:お父さん!

 T :ははっ 今日は肥後神楽の

CC:肥後神楽!

 T :立福寺神楽の

CC:立福寺!

ゆうや:やってくれるんですか?

 T :なんと保存会長さんでいらっしゃいます。

CC:え~!(拍手)

 T :坂本道隆さんに来ていただきました。

CC:わ~(拍手)

 C :えっすごい!

 T :こないだ立福寺神楽の動画見たの覚えていますか?

ゆうや:何か叩いてた

 T :そうそう!

 C :あれは覚えています。

 T :これは、熊本市の神楽のある場所がここでしたね。この赤が附属小でしたね。この近くにある①が立福寺神楽です。一番近いのは西里小です。

 C :車でどれくらいですか?

 T :15分~20分ですかね?

GT:そうですね。家まで15分ですね。

CC:えっ近い!

 T :近いね。そこにある立福寺伊邪那岐(いざなぎ)神社

GT:伊邪那岐神社と、立福寺には神社が2個あってですね、伊邪那岐神社と菅原神社とあります。

CC:えっ すごーい

 T :菅原っていうのは、菅原道真さんのことだね。そこで、10月15日ですかね。

GT:そうですね。10月15日に大祭があります。

 T :その立福寺神楽の保存会長さんに来ていただいてお話をおうかがいしたいと思います。今日は、いろいろと本物の神楽で使われる道具を持ってきていただいていますので、

 C :実際に舞っていただいて

 T :いや舞ってもらうのはちょっとね。こないだの動画を見て、どんな道具があった?

CC:太鼓

ゆうか:何か、こういう紙がついてるなんか…

 T :そうだね。笛とかもあったけど、先生、笛もふけないし、太鼓も叩けないので…

ゆうと:舞うだけでいいからやってほしい

CC:刀もあるんですか?

GT:刀もあるんだけど、学校に刀を持ってくるのはなんか危ないので

すずか:本当に切れるんですか?

GT:切れはしません。刃はついてないので。でも、刺さりはします。

CC:えぇ~

 T :こんな狭いところで刀を持って舞うんだよ。

 C :危ないです。

 C :練習しないと危ない。

 T :それでは、お願いします。

GT:今年は10年ぶりに「神宣歌(しんせんか)」という神楽を舞いました。



CC:10年ぶり…

GT:1年に1つくらいは舞うんですよね。でも、10年ぶりに最後から3番目に舞う「神宣歌」を舞ったんですよね。この神楽の動画はここに入っています。

 T :では、せっかくなので、坂本さんの神楽の動画を見てみましょう。

CCYouTube

 T :ここにそれぞれの神楽の名前が書いてあります。樅木神楽は何種類だった?

CC:24!

 T :そうだね。元は24種類だったね。ここにもその種類が書いてあります。それで、坂本さんが舞われていたのがこの「神宣歌」です。

(しばらく動画を見る→https://www.youtube.com/watch?v=GfKde7pxnCo

 T :この道具は何ですか?

GT:榊と鈴です。神様にお供えする榊です。

 T :この舞いにはどういう意味があるんですか?

GT:これは歌神楽なんで、楽しく歌って神様を楽しませましょうという感じです。神楽っていうのが、漢字で書いて、神様を楽しくだから。歌神楽がこの神楽しかないんですよね。あとで歌が入ってくるんで。

 C :この神楽って夜中に舞われるんですか?

GT:夕方の6時半くらいから9時半くらいまで。

 C :何でそんな夜にするんですか?

GT:みんなが仕事が終わってから、そういう時にするんで。最終的には、みんなが見た、通称「鬼」っていうんだけど、あれを出すのに明るい時に出しても怖くないからね。

(歌がはじまる)

GT:おじさんがうたって、もう一人の人が次にうたって、交代でうたう。あの、歌手が歌うようなうたじゃないよ。

 C :なんか呪文みたい

ゆうや;呪文では…

 C :神様に送る呪文みたい

ゆうや:神様を祭ってるみたい

ゆうや:これ、うたいながら自分で舞うんですか?

GT:そうだよ。うたいながら舞って、鈴も振って、榊も左手でまわして、足の運びもやって

CC:練習めっちゃいる

GT:全部の動きがばらばらなんで、どこかがとまるんだよね。最初に舞いだしたときは。おじさんが最初に神楽を練習し始めた時は、必ずどっかがとまる。鈴は振ってるけど、左手はとまる。それを全部合わせるのが大変。

GT:おじさんが舞っている今の神楽は20分くらいあります。

 C :20分おどり続けるんですか?

 C :体力えぐい

GT:20分舞ってる間に歌も全部覚えとかないと歌が歌えないんで

 T :タイミングもありますよね。

GT:そうです。

 C :歌が覚えられない

 C :歌ってどんな感じで歌ってるんですか?

GT:あめつちと~って感じでね。和歌みたいな歌ですね。

 T :和歌って…

 C :日本の歌!

 T :57577で

ゆうや:短歌?

 T :そう。平安時代にできた歌なんですよね。かるたみたいなやつあるでしょ?

れいじ:百人一首!

 T :そうそう。

CC:あ~確かに

GT:百人一首みたいな節回しでうたってるんだよね。

GT:ここで一旦上段の舞いが終わるんです。次が中段で、また違う歌を歌います。

GT:今度は鈴はないんです。

 T :榊が2本になった!

ゆうや:下段はあるんですか?

GT:下段はないんで。中段までしかないんで。

 C :右側の人って何してるんですか?

GT:この人はおじさんが歌った後の次の歌を歌う人です。それだけだけど、歌を全部覚えてもらわないといけない。

 T :樅木神楽と比較しながら質問してみてね。

 C :どうして10月に神楽を舞うんですか?

GT:10月の神楽はですね、元々の始まりは豊作祭なんですよ。農家の人たちのお米がとれたっていうお祭なんですよ。

C:あ~ だからか。

GT:10月15日に神様にとれたお米の新米をお供えして、農家の人たちが稲刈りを始めます。祭が終わらないと稲刈りは始められなかったんですね。昔は。その頃は7月1日くらいから田植えをして、10月15日くらいからが稲刈りだったんです。今は、気温が上がったんで、6月になったら田植えをして10月15日には稲刈りはあってるんですけど、今まで引き継いできた15日というのは変わらない。

 T :土曜日とか日曜日とか関係なく?

GT:はい。関係ないです。土曜も日曜も関係ないから、子どもたちが見に来れるように、夕方6時半からするんです。

じょう:どうして神楽をしようと思ったんですか?

GT:神楽をはじめたきっかけですか? おじさんも30歳くらいのときに先輩方から「神楽をしなさい、神楽をしなさい」って言われたんですよね。言われたんですけど、やっぱり神楽してると恥ずかしいじゃないですか。覚えるのも大変ですし。ダンスも得意じゃありません。やりたくはなかったんですね。たまたま、おじさんも36歳のときにさっきも言いました伊邪那岐神社と菅原神社ってありますよね。そこへ神楽を見に行った時に菅原神社の人が誰もいなかったんですよ。神楽を舞っている人が。神楽保存会というのは菅原神社と伊邪那岐神社の氏子さんから選ぶんですけど、伊邪那岐神社の氏子さんしかいなかったんですね。それで、伊邪那岐神社の神楽をしている人たちに、おじさんも36歳になって、先輩たちとどこかで付き合うところをつくりたいと思って、神楽保存会に入れてくださいとお願いをしました。自分から。お願いをしたんですけど、1年たって練習日を教えてもらえませんでした。本当に来るのかわからないので。冗談で言っているとしか思ってないんですよね。先輩たちは。自分から神楽に入れてくださいなんて人はいなかったんで。無理やりでも強制でも入れてたんで。昔はですね。おじさんは、入れてくださいって言ったんだけど、冗談だろうなと先輩方は思ってたみたいで、その年の練習日が分からなかったんで、おじさんの方から会長さんに練習日はいつですかって言ってお願いして、最初の練習日から入れてもらいました。おじさんたちが最初に練習を始めた時は、何にも分からないので4月になったら練習を始めてました。だいたい4月か5月ですね。毎週月曜日が練習日で、9月になったら月曜日と水曜日が練習日になる。そして、今になってますね。それからもう27年たちました。

CC:うえ~すげー

GT:今は月曜日しかしません。もうみんなが覚えてしまったんで。

 T :ありがとう。きっかけというのを聞いてくれました。他にないですか?

ゆうか:鬼のお面をかぶってる時があるじゃないですか。この場面(神宣歌)は楽しませるってあったんですけど、鬼の面をかぶっているときは何を表しているんですか?

GT:鬼さんっていうんですけど、「大国主命(おおくにぬしのみこと)」っていうんですよね。大国主命と神主さんがやりとり問答をするんですよね。それがですね、教科書を持ってきました。

CC:えぇ~

 C :教科書とかあるの?

GT:これ、教科書なんです。国津神楽の問答ですね。神主さんがですね、「天地の…」と言います。すると鬼さんが「汝折衝の…」と返すんですよね。そいうのがずっとあってですね。これがA4の用紙10枚あります。神主さん役の人と鬼さん役の人が半分ずつくらい覚えます。丸暗記です。試験勉強と一緒です。面をかぶってるからこういうのは見えないんで、これを丸暗記するんですね。

CC:えぇ~

 C :がちで…

GT:全部覚えないとこの国津神楽というのはできません。

 T :出しますか。(YouTubeの「国津神楽」を出す。)

GT:子どもたちが泣いてますよね。明るいところなんですけど、出てくるところは暗いんですよ。鬼が出てくるところって暗いんですよね。

ゆうや:どこ?いないよ。

 C :今から来る~

 C :怖いね

 T :本当は、これカメラがこうとってあるけど、鬼さんはこっちからこう出てくるんだよね。

GT:あの最初に太鼓とか叩いている場所があったでしょ?

 T :最初の写真のところだよ。

GT:あっちの一番奥から出てくるんだよね。

CC:うわ~

ゆうや:えっ怖くねけっこう。

 C :あ、あ、あ~

ゆうや:鬼は誰がやってるんですか?

GT:鬼さんも5年くらい前にやりました。で、持ってる道具がですね、これです。

 T :本物だよ!

CC:えっ!?

 C :叩いて!

GT;おじさんが最初にやった時の道具です。

CC:叩いて!

けんた;迫力がすごい。

ゆうや:何か戦ってんのかな?

GT:今日はですね、特別にですね。持ってきました。

CC:何をですか?

GT:本物を

CC:えぇ~

 C :何の?

 C :まさか!

 C :やばい!

ゆうや:なんかすごそう

けんた:玉手箱みたい

GT:この箱って110年くらい前の箱です。

CC:え~

GT:箱書きにですね。大正って書いてあります。

CC:えぇ~!

 C :大正!?



 C (動画を見ながら)頑張れ頑張れ鬼!

GT:(鬼の面登場)



CC:おぉ~!

GT:これが国津神楽の時の面ですね。これに赤い毛のかつらをかぶるんで。これがですね。暗いところから出てきて、明るいところの光が当たってですね、光るんですよね。

ゆうや:やってみて!

 C :一回やってみよう!みんな。

 T :電気消す?

CC:はい!

GT:光が当たって怖いんですよ。

 C :確かに

 C :本当かな。

ゆうや:ちょっと怖そう…

(電気を消す)

GT:こうかぶった時に

CC:うわっ

CC:えぇ~

CC:すげー

CC:こわっ

GT:ちょっとの明かりがここ(お面)にあたると光って見えるんです。これにかつらをかぶるとまだ怖いんです。今日はかつら持ってきてないんだけど、もっと迫力がでます。これが大正時代からある鬼の面ですね。

ゆうと;それなのに全然傷がついていない。

 T :大事に使ってあるんだね。

けんた:傷さえない。

 T :受け継がれているのが、神楽だけじゃなくて、物も受け継がれているんだね。

 C :大正時代から受け継がれてる。

 C :写真撮りたい。

GT:この面を作った人が熊本で有名な人だったそうです。箱書きにある名前を去年熊本の博物館の学芸員の方が調べていただきました。そしたら、熊本で活躍されてた方だったそうです。去年、熊本市の博物館にも3週間ほど展示してあったので。

CC:へぇ~

 C :作ったのは誰ですか?

GT:西川さんという方が作られた。ここの学校の近くの方です。

 T :それが110年前。

しゅう:樅木神楽が約200年前だったから…

GT:じゃあ道具をみせましょうね。これは笛です。

CC:えっ

CC:吹いてみてください。

CC;えぇ~

 C :あっリコーダー?

GT:竹の笛です。これは、おじさんが最初に笛を習った時に先輩が作ってくれた笛です。

CC:えぇっ!!

GT:手作りで、十何年前に作ってもらいました。

すずか:それちゃんと音なるんですか?

GT:ちゃんと音なります。

 C :一回やってみてください。

GT:こっちはですね、もう亡くなったんですけど、その方が持ってらっしゃった笛なんですけど、50年くらい前の笛です。

けんた:受け継いだんですか?

GT:そうです。

ゆうや:吹けるんですか?

GT:吹けますよ。ちょっと手が滑るんですよね。

(笛を吹く)

GT:ちょっとならないんですよね。緊張してます。

(笛を吹く)

GT:いいですかこれで?

CC:すごーい! (拍手)

 T :撮るのやめて生で見た方がいいよ。

GT:この笛は茶色くなってますよね。人の手にもですね、手の油っていうのがありますから、染み込んでいってこういう色がついてるんです。おじさんたちの手の親指がいつも触れているところはより黒くなってます。

CC:本当だ!

GT:おじさんの笛も、ちょっとだけここが黒くなってきてるでしょ?

ゆうや:笛によって音変わりますか?

GT:じゃあこっちも

(笛を吹く)



GT:大きいので、直径が違うので、音の大きさがちょっと違います。小さい方が高い音が出ます。祭の時にはこっち(50年前の方)が適していますね。

ゆうや:練習とかは…

GT;練習ですか?練習はですね、おじさんの時にはタブレットとかスマホとかはありませんでした。見て覚えてくださいと言われました。

 C :やば

GT:先輩が笛を吹いているところを後ろからじーっと眺めながら指の動き方を教えてもらってました。

ゆうと;一からここの音はこうするんだよとかないんですか?

GT:こうやって最初の持ち方から教えてもらって、最初の音はこうですよ。2番目はこうですよ

ゆうと;えぇ~っ

GT:それで最後までの笛を教えてもらいました。

 C :月日と時間がかかりすぎる…

GT:今はスマホがあるんで、おじさんたちも分からないところがあったら困るんで、スマホには撮ってます。先輩が吹かれるきれいな笛の音色を撮ってます。何かあったらスマホで見れるようにはしてるんですけど、自分たちが十何年前に先輩たちから教えていただいたときには、スマホはありませんでしたので、ちゃんと見て覚えてくださいということでした。

ゆうや:じゃあ今は教える立場になってるんですか?

GT:そうです。今は、おじさんの笛を見て、スマホで撮って家で練習しています。

そうた;後輩は何人くらいいるんですか?

GT:後輩は、笛を吹いている人は一人だけです。

ゆうや:えぇっ

GT:おじさんとその後輩の二人だけです。それと、太鼓をする人が二人。

 C :全部で何人いるんですか?

GT:8人です。

そうた:8人だけで3時間?すごいな。

ゆうや:8人しかいないのに、こんなことができるんだ。

GT:そうですよ。

CC:すごい。

GT:一番下の人が1人笛で入ったんですけど、入らなかったらおじさんは3時間笛を吹いてました。

CC:えぇ~

GT:だから、3時間笛を吹いているときは神楽は舞えません。神楽を舞うときに必ず笛がいるんで。今、後輩が神楽笛を吹いてくれんで、おじさんも神楽をたまには舞ってます。

CC:なるほど

GT:舞わないと忘れるので

 C :すげーな

GT:こないだは、後輩とおじさんと、フードパル知ってますかね?あそこのどんどやで神楽を2つ舞ってきました。

CC:えぇ~

CC:見たかった…

GT:おじさんたちは、結構およばれがあるんで、どっからでも。神楽を舞ってくださいって。

じょう:鬼ってなんのためにつかうんですか?

GT:鬼じゃないんですよね。神様なんですよね。

CC:えぇ~

GT:鬼ってみんなが言うんですけど、あれは鬼じゃないんですよね。大国主命っていう神様が神主さんとどうしたこうしたとやり取りをするんですよね。だから、みんな鬼って言って怖がってますけど、鬼じゃありません。

じょう:じゃあ何で怖く見えるようにしてるんですか?

GT:ですよね。あれは多分でね、鬼っぽく見えるようにしていた方が、なんていうか… 自分たちが子どもの頃にあなたたちくらいの頃に意地悪とかいたずらとかしてお父さんお母さん困らせた時に「鬼出るよ」って言われてたんですね。それでも言うこと聞かないと神社に連れていかれてたんです。夜にですよ。そして、神社に置かれて、「鬼さんでますよ」って言われてたんです。小さいときはしゅんとなっておとなしくなってました。

CC:(笑う)

CC:最後に舞ってもらいたい。

GT:舞うのは装束を着て、ちゃんとしないと舞えないし、笛と太鼓の人がいないとリズムがとれない。鈴でリズムはとれるんですけど。(鈴を手に取る)

ゆうや:えっすごっ 結構音でかい

GT:こうやって振ります。で、この鈴も今作る人がいません。

CC:えっ!

GT:今は、この鈴だけをつくってらっしゃる人が1人だけいると思います。神楽をしている人だったと思うんですけど、鈴をつくる人がいないということで、自分が作りますと言って一人だけされてる方がいるそうです。噂は聞いています。

しゅう:会ったことはないってことですか?

GT:ないです。

しゅう:道隆さんは神楽を舞っている人全員にあったことはあるんですか?

GT:この8人ですか?他の神楽ですか?ないです。他の神楽は柚木神楽といって自分のところから2kmくらいのところに団体があります。そこの人たちは知ってます。

けんた:今、神楽で人が来る人は減ってるんですか?増えてるんですか?

GT:減ってます。

CC:あぁ…

GT:見に来る人も減ってます。神楽をする人も特に減ってます。おじさんたちの神楽保存会にも若い人入ってくださいって勧誘はしてるんですけど、やっぱりね、最初私が言ったでしょ。恥ずかしい、めんどくさい、やりたくないというのが本音で今誰も入ってくれません。でも、一人だけ18歳になる男の子が1人だけいます。

CC:おぉ~

GT:その子は、あなたたちと同じ小学校4年生からはじめました。

CC:えっ!!

 T :この人だね。

すずか:同い年!

GT:今18歳なんですけど、小学校4年生の時におじいちゃんと神楽を舞いたいと言って

 T :これがおじいちゃんですか?

GT:一番こっちがおじいちゃん。おじいちゃんと一緒に神楽を舞いたいと言って神楽保存会に来られました。そして、そのままずっと入ってますね。神主さんの修業をしに神社に入られました。

ゆうと;じゃあ神楽は舞うんですか?

GT:舞いますよ!

ゆうや:じゃあその18歳の人含めて8人?

GT:そう。8人。

しゅう:神楽の中で飛び入り参加ってできますか?地元の人じゃない人でも、勝手に見に来た人も地元に帰ってきた人もランダムでその神楽を舞えるっていうのが樅木神楽にはあったんですよね。そういうのが立福寺神楽にはありますか?

GT:立福寺神楽にはないですね。練習に参加したいっていうのであれば受け入れますけど、足の動きと手の動きっていうのがあるんで、飛び入り参加はできないです。動きが難しいんで、練習しないと神楽を舞えません。神楽を舞っている順番があるんで、必ず決まった順番で回ってますんで。まず順番を覚えないといけません。おじさんが舞っている20分の神楽でも20分で舞う順番が決まってるんでね。時計回りに回って、その後反時計回りに回ってとそういうのがあるんで、その順番を覚えないと神楽が舞えません。波野神楽とかだと、面をかぶった人が踊ってると思うんですよね。あれは、そこの舞台で踊ってると思うんですけど、もちろん順番もあると思うんですけど、決まった順番がないんですよね。肥後神楽みたいな。だから、あなたが神楽をしたいですって、どうしてもやってみたいですっていうのであれば練習に参加してください。それは歓迎しますので。

 T ;月曜日に

CC:月曜は無理だな…

GT:一回ですね。生の神楽を見てください。10月15日の夕方6時半からありますので。

CC:行きます!

ゆうや:毎年変わるんですか?

GT:変わらないです。

ゆうや;内容は?

GT:内容も変わらないです。その順番で全部します。

 T :もしこの後どうしても聞きたいことがあったら、ロイロノートに送ってください。先生から坂本さんにお尋ねしようと思います。

CC:はい!

CC:ありがとうございました。

(記念撮影をして終了)

(何人も握手しにいく)

 T :一セットは学校に置いておいてくださるそうです。

CC:やった!

 

 

 子どもたちが樅木神楽と比較しながら立福寺神楽を分かろうとしている場面が多々ありました。特に、終盤に「飛び入り参加」の質問をしていたしゅうくんは、その点がとても気になっていることがよく分かる質問でした。こうした一人一人の「らしさ」が出るのがとてもおもしろいなと思います。しゅうくんは、この後も、「8人の中に女性はいるのか質問してください」とメッセージを送ってきてくれました。これも樅木神楽との比較によるものだと思います。しかし、まだまだ勘違いをしていたり、聞き漏らしたりしていることもたくさんあると思います。

 また、振り返りを読んでみると、すでに附属小のことに目を向けている子どももいました。他にも、受け継ぐ対象である「モノ」にも目を向けている子どももいました。こうした子どもたちの気付きを少しずつ広げていこうと思います。




 次時は、単元の計画を子どもたちと作りながら、子どもたちの理解のずれに焦点化し「もう少し2つの神楽について調べたい」という思いを引き出し、まとめる時間としていこうと思います。そして、2つの神楽を受け継ぐ人たちの共通点から、よりよい「受け継ぐ人」とはどんな視点を持っている人なのかということを明らかにする一歩手前まで進められたらと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

もしよかったらご意見・ご感想ください。

hmurakami@educ.kumamoto-u.ac.jp

までお待ちしています。

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