4年生「地域でうけつがれてきたもの」【神楽に学ぶ伝統の継承】①

 1月29日(月)5時間目 「神楽に学ぶ伝統の継承」第1時

 

 いよいよ研究発表会の単元の導入です。今日は、「神楽っておもしろそう!」「神楽で学んだことが学校の伝統につながりそう」と子どもたちが思えるようになることを目標としていました。そのための仕掛けは以下の5つです。

①神楽が神話の時代から受け継がれていること【神楽の歴史】

②神楽が熊本県で160か所以上も奉納されていること【神楽の分布】

➂神楽には色々な種類があり、違いがあること【神楽の種類】

④神楽を受け継いでいる人の思いを調べることで受け継ぐことの意味が分かることに気づかせること【神楽の価値】

⑤受け継ぐことの意味を学ぶことは学校の伝統を受け継ぐことの意味を学ぶことにつながること【学習の見通し】

これらのチェックポイントを通過できるように資料を準備し、子どもたちの気付きをつなげることを意識しました。

それでは、以下が授業記録です。ちょっと長いですがご一読いただけると嬉しいです。

※ Tは教師 CCは不特定多数の子どもの発言 Cは特定できなかった子ども発言 「れいじ」等の子どもの名前はすべて仮名です。

 

 T :防災のやつは家の人に喜んでもらえました?

CC:はいっ!

れいじ:考えてくれてうれしかった。

としお:話し合ってみようねって言ってくれた。

しゅう:すごいって言われた。

 T :勉強したことで、家族でもマンションの人でもいいので、ちょっとでも誰かが素敵になるってイイですね。新しい単元でもそんなことができればいいなと思ってます。

 T :12月にみなさんにとったアンケートなんだけど、「受け継がれているものってどんなのがありますか?」ってやつなんだけど。

CC:あ~!

しゅう:もう博物館に譲ったんですけど。宮本武蔵の刀。

CC:え~やばッ

すずか:それって鑑定のやつに出したら…

 T :それって誰が受け継いでたの?

しゅう:おじいちゃんが博物館にあげた。

 T :他にある?

ゆうと:あの~ 受け継がれてるってまではいかないけど、みんなで代々使ってるっていうか…

    こいのぼり。みんなで必ず、同じやつをあげる。

 T :家にこいのぼりがあるんだね。

ゆうと:おばあちゃんちにある。

あいさ:えっとお参り。

 T :どこにお参りに行くの?

あいさ:家の近くの加藤神社

 T :あ~加藤神社ね。それは誰と行くの?

あいさ:家族みんなで。初詣に。

 T :同じようなことしてるよ~って人?

CC:(たくさん手を挙げる)

けいご:琴平!

すずか:今年は行きませんでした。

 C :川尻神社

 C :健軍神社

 C :不知火の神社

 T :いろんな神社にいくんだね。他ありますか?

けんた:制服

CC:制服?

 C :あ~制服屋さんね!

 T :あ~そういうことか!会社ってこと?

けんた:はい。会社をうけついでいる。

じょう:おつぼさん

 T :おつぼさん?

じょう:つぼ!つぼ!

 T :誰が受け継いでるの?おじいちゃんおばあちゃん?

じょう:(うなずく)

そうた:地域で受け継がれていて。

CC:地域?

そうた:その年に亡くなった人の名前が石に彫られていて、参道があるんだけど、そこに石がずらーっと並べられてる。

 C :お墓?

 C :ちょっとこわいよ。

 T :今言ったことって分かれるの分かりますか?2種類くらいあるんだよね。

すずか:何か、受け継がれている…行事みたいなものと、本当に物を受け継いでる。

 T :なるほど!武蔵の刀は物だよね。じゃあこいのぼりは?

ゆうか:物もあるし、伝統というか…

 T :なるほど。お参りは?

すずか:行事みたいな

 T :制服・会社は?

CC:どっちも

 T :石を参道に置くは?

CC:行事!

 T :いろんな受け継がれてきているものがあったけど、今まで熊本県のことしてきたでしょ?

ゆうや:熊本県以外もするの?

 T :熊本県の中で受け継がれてきているものっていうのがあるんですけど、何でしょうか?

 C :熊本城?

 T :ちょっと今から絵本の読み聞かせをします。「天の岩戸」という本を読みます。

    (読み聞かせをする)

けんた:その後知ってます!

 T :今受け継がれているものの話をしていたでしょ?

ゆうか:これって伝説じゃない…?

 T :これって何て読む?聞いたことあります?

CC:しんらく

 T :読めないよね。

 C :かぐら

 T :おぉそう!これ「かぐら」って読むんだよね

 C :あぁ~

ゆうや:ヒノカミ神楽!

 T :ヒノカミ神楽ってあったね! 今の中に神楽があったんだけど、どこか分かる?

けいご:あっおどってるやつ!

あしと:あ~踊ってた!

 T :そうなんだよね。あのアマテラスを岩戸から出すために踊っていた舞いが実は、

CC:かみをたのしませる

 T :あれがね神楽の元なんだよ。

CC:あぁ~

CC:え~

 T :つまり、これだと、宮本武蔵の刀だから江戸時代とかからでしょ。

            なんと神楽は神様の時代からあるんだよね。

りんと:どれくらいだ~

 C :そんなに受け継がれてるんだ…

 T :そんな受け継がれている神楽みたことある人?

            (自信なさそうに一人だけ手を挙げる)

 T :じゃあ熊本にはあまり神楽はないのかな?

ゆうか:はい

 T :熊本にどれくらい神楽があるか調べてきたので、モニター見てね。

            神楽っていうのは、神様に見せるものでしょ?じゃあ、神楽はどんなところで舞われていると思う?

 C :神社とか?

 T :そうだね。神社だよね。熊本県のどんなところで舞われているのか見せます。よく見ててよ。



CC:え~

ゆうか:結構ある

 T :みんな見たことなかったんでしょ?

 C :もう一回やってください。

 T :なんと先生が調べただけなので、もっとあるかもしれないけど、最低でも160か所。

CC:えぇ~

ゆうと:結構ありますね

 C :兵庫県見せてください。

 C :広島とか

 T :熊本市この辺ね。さっきの160か所、全部同じ神楽が舞われているわけではなくて、「肥後神楽」「豊後岩戸神楽」

 C :さっき岩戸ってあったよね。

 T :「高千穂神楽」「球磨神楽」という風に分かれているみたいです。


https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/31450.pdfより

ゆうや:「岩戸」ってさっきの

 T :岩戸ってさっき出て来たね。

としお:結構肥後神楽多いですね。

 T :この辺が肥後神楽かな。

 C :肥後が半分占めてる

 T :この辺りが何だと思う?

CC:球磨神楽

 T :この辺が?

CC:高千穂神楽

 T :でこの辺が?

CC:岩戸神楽

 C :結構少ない。

すずか:一部だけなんも書いてないところあります

 T :確かに!一部だけ何もないところがあるね。この辺は神楽が

CC:ない!

 T :なぜか神楽がないところがあるんだね。熊本市だけを取り出してみると、28個。

 C :少ない

 C :かなり多い。

 T :ここが附属小です。

 C :うわっ近い

けいご:熊本駅はどこですか?

 C :2番と近いんじゃない?

 T :この辺りだね。

ゆうや:上熊本駅は?

 T :附属小の近くだからこの辺りだよ。

ゆうと:先生北岡神社ではあってますかね?

けいご:琴平神社は?

 T :それは後で調べるとわかりそうですね。つまり、そういうことを調べたいってことですね。

 T :これだけあるっていうことは、それぞれの場所にどんな人がいるってこと?

としお:伝統を…

CC:受け継いでいる人がいる。

 T :それぞれに神楽を受け継いでいる人がいるっていうことだね。かなりの数だね。

としお:なるほど…

 T :それをみんな知らなかったんだもんね。見たい?

 C :えっあるんですか?

すずか:どんなやつなんですか?

 T :どんなやつか気になるね。見ましょう。

ゆうや:1番か2番ありますか?

 T :1番はないけど、2番ならあります。

ゆうや:やった! 2番見たい! 家に近いから。

 T :2番は「立福寺神楽」と言います。YouTubeにあるんだよね。附属小の近くだから、何神楽?

CC:肥後神楽!

ゆうや:これ何神社?

 T :いろんなところに気付けるといいね。

            (立福寺神楽の動画を見る)令和5年度 立福寺神楽(立福寺伊邪那岐神社) (youtube.com)

 T :何が変わった?

 C :持ってるものがちがう

 C :音楽も変わった

 C :踊りも派手になった

ゆうや:やっぱり神楽みたことあります。神楽って知らずに見てた。

 C :うわっ剣持ってるじゃん!

 C :怖い…

 C :本物の刀?

 C :(電気が消えて)えっ!?

 C :鬼?

 C :暗闇でこれ見たらやばいは。

 C :これ何の意味があるんだろう?

 C :何のため?

 C :強い人になるためとか?

 C :うわ叩かれた

 C :悪いことしてるから叩かれてる?

 T :はい。今のが立福寺神楽の動画でした。もう一ついきます。もう一つは肥後神楽じゃないのでいこうと思いますので、65番の高千穂神楽

ゆいと:神楽って長いから、何が違うのか、何が一緒なのかわからない。

 T :高千穂神楽の樅木神楽っていうのをみてみます。令和元年 樅木天満宮例大祭 樅木神楽奉納 (youtube.com)

ゆうと:もみきを使う神楽?あの、もみきっていう木があって…

 T :これどんな人が叩いてる?

CC:子ども!

 T :さっきいた?

CC:いなかった。

ゆうと:うまっ

さとみ:これは高校っぽい

CC:大人だ

CC:鬼だ

 C :天狗?

ゆうや:今度はさ怖がられるんじゃなくて、楽しんでない?

さとみ:いじめてるじゃん!

CC:静かになってる。

CC:これ何て読むの?

 T :神〆(かみじめ)かな。

 T :これ全部YouTubeの動画なので、もしよかったら見てください。

さとみ:やった!見る!

 T :今みんなは、立福寺神楽や樅木神楽をどうしている人を見たの?

CC:踊っている人

ゆうと:踊ったり、太鼓叩いたり、

ゆうや:ご飯食べてたり、なんか唱えてたり

しゅう:立福寺神楽は…

 T :そういう人たちは全部で何をしている人たち?

ゆうか:神楽を受け継いでいる人たち

 T :神楽を受け継いでいる人たちなんだね。

しゅう:それを見ている人たちもいましたね。

 T :これからどうしましょう。

しゅう:先生はどうしたいですか?

 C :え~でも受け継ぐの難しそう。

 T :神楽自体をみんなが受け継ぐのってどうですか?

CC:無理!

 T :そうだね。それは無理だよね。

ゆうや:紹介するのはできるかも。これどうですかって。

 T :神楽について説明するとか?

けいご:受け継ぐんじゃなくて、受け継いでもらう。

しゅう:少しじゃないよ。めっちゃ難しいよ!1回見ただけで踊れるかって無理だし。

 T :何を調べるの?

ともこ:神楽の特徴とか何を表しているのとか

としお:何でこういうことをするのかとか

ゆうと:なんであんな怖い仮面をかぶっているのか

 C :なんでわざわざあんないたずらみたいなことをするのか

 T :こういうのを調べていくと何がわかりそう?

ゆうや:神楽のよさ

としお:どんな神様が…

しゅう:神楽のよさ!神楽の○○。

ゆうや:受け継いでいる人たちの気持ち

しゅう:思い。やっているときの意識

ゆうや:あぁ意識!

 T :じゃあ受け継いでいる人たちの思いをいっぱい考えていくと神楽のよさとかが分かっていくのかな。

 T :それってさ、今まで誰かがちょっとでもよくなるようにっていうのをしてきたじゃないですか?だから、神楽で学ぶことで、どんなことが学べそうですか?神楽のことが詳しくなるだけじゃダメなんでしょ。

CC:うん。

 T :この神楽を受け継いでいる人たちから何を学びますか?

よしお:受け継ぎ方

 T :あぁ受け継ぎ方

よしお:あっ受け継ぐことのよさ

ゆうや:あ~ね!

 T :受け継ぐ側の立場になるんだよね。じゃあ、みんな。こういうのは別々だから、難しいでしょ。みんなが一緒に受け継いでいるものって何かないのかな?

CC:附属小

すずか:机、いす

しゅう:あっでも附属小学校ってさ…

 T :附属小の、例えば?

 C :伝統

 T :その伝統って例えば?

 C :遠泳

 C :体育祭

 C :うさぎ狩り

 C :音楽会

 T :いっぱい出て来たね。

 C :どんどや

 C :いろいろとありますね。

 C :勉強

 C :研究発表会

ゆうや:でも勉強って受け継ぐことじゃなくない?

 T :ということは、こういう受け継ぎ方をすれば… こういう受け継ぎ方のよさっていうのを… 例えばうさぎ狩りの受け継ぎ方って?

すずか:えっ?

 T :あるいはうさぎ狩りを受け継ぐよさって?ということを考えていくってこと?

CC:うん。

 T :どうしたのすずかさん。難しいなと思った?

すずか:なんかうさぎ狩りとかやっとけばというか。そんなになんか… 例えば、学校の教室だったら、掃除するからどんどんきれいに使われていくけど、うさぎ狩りは掃除とかべつにしなくてもいいから。

 T :うさぎ狩りは、すずかさんは受け継ぐよさがないんじゃないかって思ってるってことね。

 C :何で受け継ぐのか

 C :そうすれば、全部一緒になってくる。

 T :全部一緒になってくるんだね。じゃあこれ行き来できそうですね。

 T :神楽は全部受け継がれてきているのかな?

CC:全部じゃないと思う。

ゆうや:もっと前は…

 T :じゃあこっち(学校)もそんなのがあるかもしれないね。何となく次からやることは見えてきました?

CC:はい。

 T :神楽を一生懸命調べて、気持ちとか重いとかね、なぜをいっぱい調べていくと…

しゅう:ぼくたちの生活にも生かされていく

 T :受け継ぎ方みたいなのが分かってきて、それによって、附属小学校の…これ一生懸命調べて行ったら附属小学校どうなりそう?

CC:よくなる。

ゆうか:よくなるというかもっと思いを込めてできる。

すずか:なんかきれいになる。

 T :思いを込めてできる。きれいになる。なんできれいになるの?

すずか:何か受け継ぐことのよさを知ったら今度使う人の気持ちが分かったりして、きれいに使おうと思う。

 T :なるほど。誰かが大事にしているものだったら、みんなもどうしたくなる?

CC:大事にしたくなる。

 T :そういうことか。じゃあ先生が頑張ることは、どうにかして立福寺神楽と樅木神楽をしている人を呼び出す。

CC:えっ!

 T :先生はそこを頑張ります。みなさんに頑張ってほしいことは、よりよい附属小になるために、この立福寺神楽とか樅木神楽のことを調べてください。いいかな?

CC:はい!

 T :たのしめそうですか?

CC:はい

 T :どの辺がたのしめそう?

ゆうや:何か意味が分かると、こういう意味があるから行ってみたいになる。

 C :本人に聞くのがたのしそう。

 C :そうね。

 T :本当は振り返りを書いてほしいんだけど、今ロイロノートが使えないから、使えるようになったら書いてね。どんなことを調べたいか。どんな風になりたいかを書いてみましょう。家に帰って動画見てみてね。他の神楽もみてみてね。

すずか:何て調べたら出てくるんですか?

 T :立福寺神楽、樅木神楽って調べると出てくるよ。

 C :樅って漢字すごいな。

 T :オーバーしちゃったごめんね。終わります。




 これまでの単元で「誰かがちょっとでも幸せになるために学ぶ」ということを行ってきたので、子どもたちはあまり抵抗なく、「神楽の受け継ぎ方を学び、附属小の伝統の受け継ぎ方がよくなれば、学校がよくなる」という単元の文脈に納得できたようでした。

 次時からは、実際に神楽保存会の方々に出会いながら、神楽について学んでいく時間にしていきたいと思います。

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