6年生政治単元の授業の紹介です。
熊本市の渋滞問題解消を考える単元7・8時間目です。
久しぶりの投稿になってしまいました。
昨年度より活動を中心とした学びを構成していることもあり,相互評価の時間を設定しています。これは,単元の導入に子どもたちとどのタイミングで相互評価を行うか話し合い,設定しています。相互評価の後に話し合いの時間を設定することで,自己評価と他者による評価のずれや評価者によって生じる評価のずれを契機として対話が生じていきます。
「こういうつもりだったんだけど…」
「それはわからなかった。それなら,こうしてみたら?」
「なるほど,それはいいね!」
「どうしてここの評価が低いの? 私はいいと思ったんだけど」
「だって,この意見の根拠がつながらないと思うから。」
「そうかな… だって…」
こんな様子が昨年度いたるところで見られました。そこで,今年は理論化するために,しっかりと設定していこうと考えています。本単元では,それが前時の議会質疑でした。
実際,議会審議の影響は大きく,すべてのグループで政策に対する考えの変化が起きていました。やることが明確になり,話し合いが活発になったグループもありました。活動中心に行っていると,自分たちの活動に満足してしまいがちです。多面的・多角的になるためにも他者の意見は必要です。
それでは,具体的にどのような変化が起きたのか,それぞれのグループを紹介していきます。※は前回までの政策です。
【中央区①】※九州自動車道から中心地までの高架道路の設置
これまで市電沿線に高架道路をつくる計画をしていましたが,それでは市電沿線の車線が減ってしまうため,余計に渋滞が起こることを懸念し,別ルート(産業道路ルート)を通って,九州自動車道につなぐ案に変更していました。また,九州自動車どうとの接続場所は益城ICと熊本ICの中間地点となり,そこに新たなICをつくる案にまとまりました。
【中央区②】※市電の地下化
市電の地下化を進めていたグループでしたが,議会質疑により高架化の5倍も費用が掛かることと,地下水を心配する意見が多く出たことから,地下化をあきらめました。そこで,目を付けたのは,市電の利用者を増やすことによる渋滞の解消でした。この班は市電のアンケートを使って政策を考えていたので,そのアンケートから利用促進のアイデアをもらおうとしたようです。政策としては,
・市電の利用者で買い物利用者の割合が最も多いことから「市電を使うと10%Off」チケットの発行
・快速市電をつくる(健軍・新水前寺・通町筋・辛島町・熊本駅・上熊本駅にのみ停車)
・すべての電停に屋根をつくる
などを挙げていました。市電の地下化のときに考えていたバリアフリーなどの考えも新しい政策にも生かそうとしていました。
【中央区③】※3号線中央街信号周辺の信号調整
この班は,信号を調節しようとしていましたが,信号を調節すると他方の渋滞を招く恐れがあることを指摘され,そのことで軌道修正を迫られました。そこで,着目したのはもう一つ渋滞解消の候補に挙がっていた浄行寺の交差点です。
浄行寺の交差点周辺をストリートビューなどで確認していた子どもたちは,ここに使用されずに広く残された歩道のようなものがあることに気が付きます。そこで,その部分を道路を広げることに使えないか探り始めました。そして,2年前のSNSなどまでも調べ,道路拡幅へと政策を変更していきました。
【西・南区①】※中心部の一部高架化
議会質疑では,高架道路から降りてくるところをせまい道に設定していたことから,その場所での渋滞がよりひどくなってしまうのではないかという意見が出ました。そこで,子どもたちはより高架道路への乗り降り口について具体的に話し合いを進めていきました。そこで,解決策として出たのが,高架道路をロータリー形式にして,降り口を駐車場や店舗等に限定するという案でした。百貨店や市役所などが立ち並ぶ中心地に高架道路から直接乗り降りできる駐車場や店舗等を整備し,ロータリー式の高架道路への乗り入れ口は大きな道路に限定するというものです。このロータリー式の道路は以前にまさみさんが考えていたものでした。それを高架道路に応用した形です。
【西・南区②】※長六橋周辺の道路の再整備と信号の調整
「カーブを緩くするくらいで渋滞は解消するのか」という他の班からの意見に「確かにそうかも」となっていました。そこで,もう一度考え直し始めたときに,初心に立ち返り,バスの利用促進へと移行していきました。バスの利用促進は,ゆうこさんが初めて市役所の方と政策について話した時から考えていた意見でした。バス利用促進の政策として,
・バスベイ型停留所を増やす
・バスの定期券を見せると割引になる提携のお店をつくる(バスに広告を出しているお店など)
・バス停にレンタサイクルを設置する(契約している人が使える)
・小中学校のバス通学を許可してもらう
などを考えました。4つ目の意見は附属小の子どもならではだなと思いました。
【東・北区】※北バイパスの一部立体交差化
他のグループからの具体が欲しいという意見に対し,近見の交差点を参考にしながら,直進は高架下。右左折を高架化という斬新なアイデアで渋滞解消をねらいました。場所は,新南部6丁目交差点にしぼりました。私の通勤路なのですが,確かに混む場所ではあると思います。市役所の方がどのように評価されるのか楽しみなグループです。
子どもたちなりに懸命に考え続けた8時間でした。いよいよ今週金曜日に市役所の方より評価をいただきます。子どもたちは評価前に市役所の方々との対話の時間を設定しています。その対話の中でまた本物の人たちと濃密な時間が過ごせそうです。
ご意見等ありましたら,ぜひお聞かせください。
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