すごしやすい熊本市をめざして「熊本市の交通とまちづくり」を提案しよう 第5時間目

 

熊本市の渋滞問題解消を考える単元5時間目です。

 本時は,前時に政策決定に至らなかった東・北区の子どもたちの困りごとに寄り添う時間としました。

 初めに,前時の振り返りの中から気になる点がないか問いました。すると,

 

ゆうか   どうしてファストフード店にこだわるのかが気になる。

 T        他のグループにもファストフード店のこと考えてるあるよね。

ゆうか   ファストフード店の渋滞のことは確かに困るけど,他のところをやった方がいいと思う。

 T        どうして他のところなの? 他にも同じ意見の人いる?

あやか   ファストフード店よりもっと混んでいるところあるのに,なんでファストフード店にこだわっているのかが分からない。

こうき   ファストフード店が混んでるから,他のところも混むんだよ。

 T        ファストフード店の渋滞が原因だってことね。

まりこ   コロナになって中で食べる人が少なくなって,ドライブスルーが増えたことが原因なんじゃないかな。

ゆうか   それなら,あともう一店舗つくるとか?

まなと   一店舗つくるのにめちゃくちゃお金かかるじゃん。

 T        確認するけど,今,市役所の側に立って話してるんだよね?

ゆうか   はい。

 T        市役所がファストフード店を一店舗建てるってありなの?

みんな   なしでしょ!

まさと   それはファストフード店の問題だもん

 T        なるほど。じゃあ,ファストフード店専用レーンは?

まさと   市役所!

 T        市役所でいいの?

(考え始める子どもたち)

 C        なしかな…

 T        こうきくんが言っていた,ファストフード店が原因で渋滞が起こりやすくなってるから,その周辺の対策をしますは?

みんな   あり!

 T        じゃあ,その対策として,ファストフード店専用の道路を市役所がつくろうとするのは?

みんな   なしかな…

 T        なるほど。じゃあ百貨店は?

このあと,百貨店についても周辺地域の渋滞解消について考える必要があるということで,まとまりました。

 

 次に,東・北区がなかなか政策が決められないという問題を全員で解決しました。

 それぞれのグループに何から決めたのかを聞いてみると,「場所」という答えが多く返ってきました。そこで,東・北区も場所を決めようということになり,候補として挙がっているところを確認すると,ファストフード店と本屋が道向かいにあるところと北バイパスの新南部6丁目交差点付近の2か所であることが分かりました。さらに,違う意見をもっているはやとくんに意見を聞いてみました。

 

はやと   ぼくは,自分たちでどうこうして決めるんじゃなくて,市民の人にどうしてほしいか意見を求めてそれをやるのがいいんじゃないかなと思いました。

 T        前のまりこさんとゆうこさんの話に似てるのかな?

              どうやって集める?

 C        ネットとか?

まさと   それだとネット使える人しか聞けんじゃん。

ゆうこ   高齢者の人とかの意見は…

 T        ネットで集めるのは楽だよね。

              今,熊本市でネットでアンケートしてるのってあるのかな?

まなと   市電はありました!

まさと   市電はある。

 

実際に「熊本市 アンケート」で検索すると3つのアンケートが出てきました。

 

 T        これ見ると,はやとくんがやりたいような「どんなことに困ってますか?」はないね。

はやと   うなずく

 T        まなとくんが見つけた市電のやつみんなに配ろうか

              これってどうやってアンケートとってるの?

まさと   市電に乗るときに紙を渡されて,ビンゴみたいに穴をあけていって,降りるときに回収されます。

 T        なるほど。それってバスでもできそう?

 C        えぇ~

 C        ぎゅうぎゅうで無理です!

ななみ   座るところないからできないと思う。

ゆうか   急ブレーキとかもあるし。揺れるし。

 T        じゃあバスは無理か…

ゆうか   降りるときにチラシを配るのがいいんじゃないですか?

 T        QRコードとかつけてね。

こうき   でもそれ,スマホもってる人しか無理じゃない?

 C        たしかに…

 T        さて,この話って,前回のまりこさんとかゆうこさんと,ひかるくんの話とつながりますよね。まりこさんは,自分たちだけの考えでいいのかって思ってて,それで口コミを使おうと思った。でもひかるくんは口コミでは心配だって言ってたよね。

              市役所職員としてその悩みはあるよね。その解決策としてアンケートはあるよね。

 C        はい。

 T        みんなの中にも同じ気持ちがあるのかな?

ななみ   だからアンケートをしたい。

 T        あとはやり方ですね。みんなができる範囲と言えば,附属小の関係者かな?

              みんなに任せますが,内容はしっかり考えましょう。たまに附属小からメールがくるでしょ?そこに,「アンケートはこちらから」っていうのがあるでしょ?そんな風にできるとは思います。

              それでは,あとはグループで考えてみましょう。

 

 この後,東・北区の子どもたちは,地図を確認しながら,「北バイパスは道が大きいのに渋滞している。もし,この渋滞が解消すれば,他のところの渋滞解消にもつながるかもしれない」という考えに至り,北バイパスの渋滞解消に向けて政策を考えることとしました。

 

 正直,前時の段階でまりこさんやひかるくんが話した後に,アンケートに向かうように私から働きかけようかとても悩みました。しかし,他の子どもたちがあまりアンケートには向いていないように思えたので,やめたという経緯があります。その後,色々な先生方と話しながら,アンケートに向かうように出るのではなく,「市役所職員として口コミをどう扱うのか」という問いかけをすることが必要だったのではないかと考えました。そして,本時を迎えました。だからこそ,今回は,市役所職員としての立場を意識させながらの授業となりました。

 

次時は,互いのグループによる意見交換会です。

 

 ご意見等ありましたら,ぜひお聞かせください。

 hmurakami@educ.kumamoto-u.ac.jp

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