新年度のご挨拶と政治単元での挑戦!

 

今年度6年生を担任することになりました。村上春樹です。

 

早速ですが,現在「わたしたちの暮らしを支える政治」の単元でチャレンジ中です。

 

みなさんご存じでしょうか? 私たちの学校が位置する熊本市は,政令指定都市の中で最も交通渋滞が多いのだそうです。熊本に住む私たちにとって,「仕方ないよね」と思っていたことでも,「政令市でワースト」と聞くと,「これはさすがにまずい」と思えてきます。

 これは,子どもたちも同様でした。

単元の導入で令和3年3月に行われた「熊本の交通とまちづくりシンポジウム」で大西市長がプレゼンされている動画を視聴しました。その中には,前述の「政令市でワースト」という事実と共に,本校のすぐ近くにあり,バス通学の子どもたちがいつも通っている京町本丁交差点が主要渋滞箇所となっている事実も示されていました。静かに動画を動画を視聴していた子どもたちでしたが,「市民の皆様と語り合いながら理想の20年後に向けて頑張っていきたい」という大西市長の締めの言葉のあと,子どもたちは思い思いに語り始めました。

 

のぼる   プロジェクト③に「中央区京町本丁交差点」ってありました!

ゆうし   あの上熊本からのところ

ここみ   すぐそこ!

 T        どこ?

みやこ   あの肥後銀行のところの交差点!

 

 子どもたちの気づきが止まらないので,班ごとに気づきを出し合わせました。あるグループの学びの様子を紹介します。

 

ここみ 私言っていい?ちょっと。動画で,バスとかを使う人が減ってる,車を使う人が増えてるって話が出たじゃん。なんで,自動車が増えたのかってところが知りたくて。私たちもまだ小学生だからっていうのがあるけど,送り迎え以外は大体バスとかじゃん。そこで,結構バス使ってるって思ったんだけど。

かずき  メリットとデメリットを考えて,車がメリットが高いから車使ってるんじゃない?

まさと  バスとか電車ってある一定のところしか行けないじゃん。車ってどこにでも行けるし,バスとか電車って,今,結構遅いやん。わかるど?

かずき  あ~時間とかもね。

まさと  結構遅いもん。車はほら,自分の好きなようなスピードでいけるやん。

ここみ  移動がね。

まさと  移動速度がもうちょい上がれば…

 

 それぞれのグループの中で,交通にかかわる様々な問題が噴出しているようでした。そこで,シンポジウムで出された資料と子どもたちの経験を基にした交通の課題について全体の場で出し合いました。

 

 T     熊本市の交通渋滞が政令指定都市で…

みやこ   ワースト1位!

のぼる   福岡の方が渋滞しているイメージしかないけどな…

 T   昨日先生も福岡市の渋滞箇所調べてみたんですけど,福岡市で79でした。

C C  2倍!

 T    福岡県全体でも180か所くらいでした。

まさと  えぇ!

C C わー やーばっ!

 T   そのせいで公共交通を使わなくなるんだよね。

ななみ  遅くなるから。

まなと  でも,それのせいで公共交通が遅くなる。

のぼる  それで,また公共交通も遅くなる。無限ループ。

(中略)

まさと  電車(市電のこと)ってめちゃくちゃ遅いんですよ。健軍から上熊本駅にくるまでにだいたい1時間くらいかかるんですよ。でも,車は30分くらいで着くんですよ。

ゆうし  先生!

 T    どうぞ

ゆうし  動画で老人が乗れなくなるからバスをいっぱい作るっていってるけど,バスって一台つくるのに,何円かかるのかな?

 C    結構かかりそう

ゆうこ  そういうのって税金でやってるから…

みやこ  バスの運転手さんもいるし…

 

この後,熊本市が2025年までに実現しようと取り組んでいることについて,どんな問題を解決するために取り組んでいるのかを確認しました。

 

 T    熊本市いろいろしてくれてますけど,皆さん的にはどうですか?

 C    まだ実感がない。

C C がやがや

まさみ  言われてみないとわからない。少しずつ,あっなんかできてるなって感じだけど,そこまで着目しないから,言われたら,あっここだったんだ~ みたいな。

ななみ  そもそも思わない。

 T    そもそも公共交通に乗ろうと思わない?

まりこ  附属小に通ってるから,バスで行かないといけないってことだから,なんか,日常的なものでバスに乗ったりするってことはない。

のぼる  普通に,附小の人が乗りすぎてバスの中がぎゅうぎゅうだから乗りたくないです。

 

この後,子どもたちの居住地でグループ(中央区,東・北区,西・南区)をつくり,登下校中の課題について出し合いました。

そして全体に戻し,出てきた課題が以下の3つでした。

○高速までの道が渋滞

○人気店の近くが渋滞

○一方向にしかバスが行かない

○駅の周りが渋滞

そこで,登下校中に見られる交通の課題を渋滞に絞り,子どもたちに次のように問いかけました。

 T    大西市長さんがみんなと一緒に考えていきたいんだって話してくださったじゃないですか?

        このあと,この学びどうしていきたいですか?

ここみ  これを改善するために,何をすればいいか考える。

まなと  自分たちなりに考えて,伝えたい。

        多分,子ども中で附属小が一番公共交通機関を使ってると思うんですよ。だから,そっからわかることを市の人たちに伝えたい。

 T    提案してみたい? なるほど。

ゆうし  どうやって伝えるんですか?

まりこ  それが本当になるかどうかはわかんないけど,私たちの市がよくなるために,いろいろ提案して,よければいろいろ…

 T    実際提案してみたいってことね。

        ちょっとこれは,今すぐには決められないので,市役所の人に相談をして,OKだったらそういうことでってことでいいですか?

C C おぉ~!(拍手)

 

というところで本時を終えました。子どもたちは,身近な「交通渋滞」という課題に対し,「自分たちも改善策を考え,提案したい」という思いをもつことができました。これは,大西市長の「みなさんと一緒に考えたい」というメッセージや熊本市の具体的な取り組みについての例を示したこと,そして,今まで当たり前だと思っていた交通の課題に初めて正面からぶつかったことで,「どうにかしてみたい」という思いが高まったからだと考えます。



 はたして,子どもたちは市役所の人たちに提案できるのでしょうか?



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