熊本市の渋滞問題解消を考える単元2時間目です。
幸いなことに,熊本市役所の都市建設局より5名,附属小学校に来ていただきました。子どもたちの願いが叶いました。
前日までに,子どもたちより「改善策を提案したいけど,どうやって市役所の人たちが考えているのかわからないので教えてほしい」という声があり,そのこともお伝えすると,快く引き受けてくださり,政策を考えるときのポイントをわかりやすく示したレジュメまで作ってきてくださいました。
はじめに,レジュメを使って政策を考えるポイントについて解説していただきました。
その後は,都市建設局の方々も交えて,地区ごとに,どんな場所にどんな解決策が必要かを話し合う時間を設定しました。東・北区のグループの話し合いの様子です。
こうき 例えば,ここら辺に信号あるじゃん。そして,ここら辺の看板に,「この先渋滞です」とか,「この先約5km渋滞です」って書いておいて,そして,こっちの道に行った方がいいですよ的なものがあった方がいいと思う。
ここみ そういうのあるって。実際に今も。
こうき そういうやつの数を増やした方がいいんじゃないかな。あんまり費用も,そんなにかからないし。
ここみ なんて書いたらいいんだろう?渋滞するっていうお知らせの看板。
はやと 道の誘導の看板。
こうき そうそう。
市職員 いいよね。今の案は,元々あるやつを使ってすいてるところに流しましょうなんで,お金もあんまりかかんないし,比較的短期で手間をかけずにできる案で素晴らしいと思う。
ここみ ありがとうございます。
はやと それと同じ感じなんだけど,熊大前ってめっちゃ混むじゃん。だから,ここに橋があるじゃん。小磧橋っていうのがあるじゃん。だから,そっちの方に誘導したいんだけど,小磧橋行ってからが道が細いんよ。それをどうするかっていう問題があって。
こうき あぁ
市職員 そこの道が広かったら,もっといっぱい車が流れて渋滞が
もちろん道を広くするのも解決策としては…一つだからね。
こうき でも,それ使うと,結構費用とかがかかるから。
市職員 でも,お金はかかるけど,そこにお金をかけることで,何千人,何万人もの人が助かるんだったら,
一人二人しか通らない道に何千万も何億もかけるのは,効率がわるいけど,何千人,何万人の人が通るんだったら,もうちょっとお金かけても道路を広くしてもいいのかなって考えられる。
こうき すごい細い道とかあるじゃん。ここにお金かけてもしょうがないと思うんだよね。
すごい車が通るところだったら…
ここみ すごい車通るのに,狭いところだったら。
市職員 そういうところだったら広げてもいいのかなってところはあるよね。
はやと 質問があります。道路広げるときって,建物壊すお金もかかるんですよね。
市職員 それも必要ならやらなきゃいけない。そういうときに,さっきも合意形成って話をしたけど,そこに住んでる人がいて,そこがみんなも困ってて,道路を大きくしたいんだ。だから,住んでるところを移ってもらえませんか?そんな話をしなくちゃいけない。
こうき いろいろつくるときに○○
ここみ うん…
市職員 だから,みんなが望んでることがみんなが喜ぶことかというとそういうことでもなくて,違う立場の人からすれば,ここずっと住んでたのに,動きたくないなって人もいるから,いろんな立場の人の気持ちを考えて,じゃあ最終的にどうしたらいいのかなっていうのを考えていかないといけない。
こうき たしかに
ここみ その地域の人のことも考えないといけない。
こうき そこらへんは話し合いできめないと。
はやと 住宅地はね…
こうき そういうところにお金をかけるよりかは,こういう長い(3号線やバイパスを指さしながら)
ここら辺(バイパスを延長するように指さしながら)に住宅とかいっぱいあるじゃん。で,そこに帰っていく人がいるから,そこで結構混むと思うんだよね。お店とかに行きたい人も多いだろうし。この辺の都会のサクラマチとか,いろいろあるじゃん。だから混むとおもうんだよね。
はやと 都会ってさ,サクラマチとか上通とかさ,車を駐車場とかにおいて歩いて回るじゃん。
ここみ あぁ
はやと だから,駐車場もたくさんおいて,おくことか,公共交通機関の便利なものを通してみなさんにそれを使ってくださいねみたいな。
こうき バスとかをおいて
はやと 市電とか近いじゃん。
こうき たしかにそれもいいかもね。
はやと なんて書こう。
こうき 駐車場や公共交通機関をたくさんおく。
市職員 今のはなんか,いろんな対策を組み合わせるパターンだから,すごくいいと思う。まちなかに行くときに駐車場がいっぱいあった方がいいよね。でも,まちなかに近すぎると車がよってくるから,ちょっと離れたところに駐車場をおいて…
でも,ちょっと離れてたら行きにくいよね。そしたら,公共交通も便利にして,まちなかに入りやすいようにしようか。いろんな取り組みを組み合わせるっていうのもいいと思う。
こうき だから,なんていうのかな,空き地とかから行くみたいな。電車とかを通らせて,そしたら,より便利になるし,まちなかに行く人も増えると思う。
わずか10分ほどの時間でしたが,本物の人たちと出会い,一緒に話したことで子どもたちはとても濃密な時間を過ごすことができました。今,子どもたちが政策をつくるに当たって悩んでいることは,市役所の方々が悩んでいることと同じような悩みであると思います。こうした,本物の人の文脈をたどることで,子どもたちは今まで見えていなかった,見ようともしていなかった,様々な人の立場や土地の様子にかかわっていこうとしています。私は,このように,子どもたちが実社会の人の立場にたって考え,その人たちと同じような葛藤場面に出合い,解決しようとしていくことが社会科の学びに必要だと考えています。なぜなら,この真正の葛藤場面を社会にかかわりながら多角的に考え解決していく中でこそ,社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎は育まれていくからです。今日の授業の中でも,ブログで紹介できなかった子どもたちも,ただ道路を広げればいいわけではなく,そこに住む人の思いにまで寄り添おうとしていました。
実際に提案できるとなった今,子どもたちはこれからどんな人やものとかかわり,よりよい熊本市を目指して,どんな解決策を考えていくのでしょうか。
私自身とても楽しみです。
子どもたちが学んでいる様子がニュースで取り上げられました。
政令市でワーストの交通渋滞 解消を目指して小学生が渋滞解消の政策を立案中(RKK熊本放送) - Yahoo!ニュース
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