すごしやすい熊本市をめざして「熊本市の交通とまちづくり」を提案しよう」最終回 6年社会科「わたしたちの暮らしを支える政治」

 熊本市の渋滞問題解消を考える単元9時間目です。

 

 いよいよ最終回となりました。

 今回は,熊本市都市建設局のみなさんにお越しいただき,子どもたちが考えた政策について意見交換を行ったり,評価していただいたりする時間です。

 子どもたちの政策については,PDFにして事前に都市建設局あてにお送りしていましたので,市役所の方も準備万端でした。

 

 6つあるグループに市役所の方が一人ずつ入ってくださって意見交換会のスタートです。



【西・南区1班】

 ロータリー式高架道路についての説明をしました。場所を選んだ理由や,ロータリー式高架道路にした経緯について話しました。途中,熊本城の景観が高架道路によって損なわれるのではないかという指摘が市役所の方よりあり,みんなで改善策を探りました。

【西・南区2班】

 バスの利用促進に向けた様々な提案を行いました。事前資料では説明しきれなかった,実体験に基づいた政策決定の理由などを話しました。特に,政策決定まで様々な考えを出し合う中で,費用を抑え,渋滞解消の効果が高いものを考えバスの利用促進に至った経緯などをとても評価していただきました。

【中央区1班】

 九州自動車道から熊本市の中心部まで高架道路を通す政策についての提案を行いました。市役所の方からの様々な質問にこれまで考えてきた経緯も含めてしっかり答えていました。「できれば企業の人たちにも意見を聞きたい」という子どもたちからの提案を市役所の方が大変褒めてくださいました。

【中央区2班】

 市電の利用促進に向けた様々な政策を提案しました。はじめ市電を地下鉄にする案を考えていたことに対して,グループの中では「熊本の地下水は約30mの深さのところにある」と調べていて,福岡市営地下鉄だとぎりぎり大丈夫だという話をしていましたが,市役所の方に「場所によっては5mで地下水が出るところもある」と聞き,改めて市電の利用促進に切り替えてよかったと感じるとともに,情報の集め方の難しさを感じました。

【中央区3班】

 浄行寺の交差点周辺の道路の拡幅について意見交換を行いました。その中で,なぜ浄行寺の交差点に着目したのかという話になり,かいとくんが「浄行寺の交差点は3号線の渋滞と,熊大に向かう,子飼橋周辺の渋滞解消にも関係がありそう」という回答にとても感激されていました。熊本市としても実際に浄行寺の交差点については拡幅の計画中であるということで,子どもたちも今後の計画の進展をとても楽しみに過ごすことができそうです。

【東・北区】

 北バイパスの下南部6丁目交差点の立体交差化について提案しました。図では表しきれなかった政策の全体像を詳しく説明しました。その中で,熊本市の地盤がゆるく立体道路の建築にはその分費用がかかることなど,子どもたちが知らなった課題が明らかになり,改めて渋滞解消の難しさを感じると共に,自分たちにできることを模索する子どもたちの姿がありました。

 

 意見交換会を15分と設定していましたが,子どもたちも市役所のみなさんも時間が足りないといった様子でした。それだけ,子どもたちが政策について一生懸命考えていたのだと思います。

 意見交換会の後は,市役所の方たちからの評価の時間です。それぞれのグループ毎に評価していただきました。足りないところも多々あり,改善点についてもお話ししていただいたのですが,それぞれの評価がとても温かく,胸が熱くなりました。

 その後,各グループに賞状をいただきました。よい思い出になったと思います。

 

 最後に子どもたちの振り返りを掲載してこの単元を終えたいと思います。

【のぼる】

 政治が,勉強する前に思っていたよりだいぶ複雑で,また大変なことがわかった。けど,政策づくりは楽しくて,高架道路と高速道路をつなげれば?などの意見も話し合う中ででてきて,みんなで考えたことでいい政策を提出できた。政策もそうだけど,18歳になったときに選挙に参加したり,できるだけ政治に関わったりしていきたいです。

【さなこ】

 最初,政策は市役所の人が考えていて私たちには関係ないと思っていましたが,自分たちで政策をするときは市民の人たちの意見も取り入れてつくっていかなければならないと気付いたので,私たちも関係していることを知ることができました。

 私たちが考えた政策が実行されなくても市役所の人の役に立てたのなら未来につなげることができると思います。次の世代の子どもたちにも興味をもってもらえるようにこれからも頑張っていきたいと思います。

 

 他にも,「今の社会は,色々な人たちによってつくられているんだなと改めて思いました。」

7月の参院選の模擬投票が楽しみです。」といった振り返りもありました。

 

私は,「熊本市の交通について課題意識を高め,行政の担当者や身近な市民とかかわりながら,よりよいまちづくりについて政策を考え,提案することを通して,自らも熊本市をよりよくすることができる市民の一人であるという自覚を高め,社会にかかわろうとする意欲も高めてほしい。」という願いをもっていました。自ら政策を考えていくことを通して,子どもたちは政治と市民とのつながりを色濃く感じることができていました。そのことは振り返りからも読み取れます。子どもたちが「今の課題をどうにか解決しなければならない」という文脈で思考したことが政治を他人事とせず,自分事として捉える契機になったのではないでしょうか。

 未来志向の子どもたちは,7月の参院選のマニフェストをどのように読み取り,投票に生かしていくのか,模擬投票が楽しみです。

 

 ひとまず,政治の単元のブログは終了です。これまでありがとうございました。



 

 ご意見等ありましたら,ぜひお聞かせください。

 hmurakami@educ.kumamoto-u.ac.jp

 

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