子どもたちが前のめりになって「日本全国の自然災害」について調べていく授業~日本の国土と自然条件に対応した公助について考える力の育成をめざして~②

こんにちは。昨日に引き続き研究発表会の授業単元の紹介です。


 

本日3時間目の授業を行いました。

 今日は,初めてカードを使って自然災害ゲームを行いました(基本的なルールについては昨日のブログをご覧ください)。初めてだったので戸惑っているグループもありましたが,活動を通して様々なことを学んでいたようです。

 今回は,子どもたちの振り返りから子どもたちの学びの様子を感じていただけたらと思います。子どもたちの名前は仮名です。

 

ななこさん

のぶきくんが災害が起こった後の公助を出していたので,災害が起こる前のことを考えないと1%にはならないと思いました。だから,日本の公助のコツを調べたいです。後,けんじくんの振り返りの発表には反対です。それは,簡潔にするより,資料が多い方がいいと思うからです。

 

のぶきくん

ななこさんのカードの中に災害が起こった後の対処法(レスキュー)などが出ていたのでもう一度ゲームのルールを知りたい。また,ななこさんの公助を聞いている時,津波から身を守るためのタワーは,本当に津波から身を守れるのかということを考えたり,もっとたくさんのカードをつくったりしていきたい。

 

うららさん

今日はカードを9枚書いて,ゲームをしました。地震が起きたら津波があって,津波があったら海から遠い避難所に避難して,と,自身が起きると色々なことが起こるんだなと怖く思いました。それと,公助では仮設住宅を思いつきましたが,災害が起きた後に使うんだと今ごろ思ってしまいました。

 

そうまくん

ゲームをしている中で公助にいくつか種類があることに気付いた。災害が起こる前と起きた時と起きた後の3種類があった。その中でも全てに共通するカードは多くあったが,1つの災害だけにしか使えないカードが少なかったから,1つの災害だけにしか使えないカードを集中して集めたい。

 

 この4人は,公助には災害が起きる前にするものと,起きてから行うものなどがあるという公助の役割の違いに目を向けています。そして,ななこさんは,災害が起こった後の公助に意味はないのではないかという問いが生じています。これは,是非みんなで考えてほしい問いです。そうまくんの「1つの災害だけにしか使えないカードを集中して集めたい」理由は分からないので,尋ねてみたいと思います。

また,ななこさんの振り返りに出てきているけんじくんですが,次のような振り返りを書き,最後にこの振り返りを発表してくれました。

けんじくん

カードゲームをやってみて,あんまり余計に出しすぎるとカードが混乱してくるので,その地形にあった公助カードを最小限に出すともっと良くなるかなと思いました。地震の対策はあと少しだなと思ったので,そこを改善した方がいいかなと思いました。

 はじめは拍手が聞こえてきたのですが,「最小限でいいの?」と問うと,「たくさんあった方が…」「いや幅広い方が力は身に付く」とたくさんの子どもたちがカードゲームの価値について発言していました。何のためにこのカードを作っているのか多くの子どもが理解できていると実感しました。

 次に紹介するのは,正にカードゲームをする中で学んでいる子どもの姿です。あるグループで行われたカードゲームの様子が振り返りから浮かんできます。その4人の振り返りです。

 

しょうたくん

今日は実際にカードゲームをしてみて,しゅうくんが「何の災害かが分からない」と言って,あまり関係ないカードを出していて,こういうのが難しいんだなと思いました。周りから見ていると分かるけど,わからないこともあると思いました。

 

かりんさん

今日はカードを使って実際にゲームをしました。ゆうこさんが地形等の条件カードを出して,しゅうくんが公助を出していたら,何の自然災害か分からずカードを出していました。新しい問いは,「どうしたら条件のカードを見て自然災害が見分けられるのか」です。

 

ゆうこさん

新しい問いが見つかりました。それは,震度7強の地震よりもなぜ震度5の地震が死者が多いのかです。60年くらいちがうので,その間でたくさんの公助が出てくると思います。カードゲームでは最初から複雑すぎるのを出してしまい,混乱してしまいました。ですが,きっとその方が現実的なので,そのように私はやっていきたいと思います。

 

しゅうくん

今日は自分たちがつくったカードを使ってゲームしてみました。まちがって「砂防ダム」を出してしまって守れなかったので,次はもっとカードを増やして,どんな条件,自然災害にも対応できる公助カードをつくりたいです。

 

 ゆうこさんは津波を想定した地形等の条件カードを提示したのですが,しゅうくんは水害を想定したようで「砂防ダム」等を公助として提示したようです。このような活動の中でこそ,子どもたちは自ら災害が起こりやすい地形等の条件とそれに対応した公助について考えていくのだと思います。

 

 こうした振り返りの他にも…

 

しずかさん

今日,防災カードゲームをしました。カード(公助)は,地形等の条件に対し,1対4の防災をしていたにも関わらず,これだけで町民を守れるのか?と思うほどたよりなかったのにおどろきました。よく,用心にはしすぎがないと言われるのですが,今日まさにそのことを実感しました。

 

のりこさん

今日ははじめてカードゲームをしました。けれど,火山の調べがあまく,火山が起こりやすい地形は分かるものの,公助が分かりませんでした。そのため,火山のゲームができませんでした。それで,水害と津波でばかりやっていたので,次までに火山の公助を見つけたいです。

 

 子どもたちはカードで遊びながら自然災害や公助について自分なりの学びを進めていっています。ただ,

 

たいしくん

今日は,ゲームをしました。初めてだったので,いまいちルールが分かりませんでした。新たな問いができて,公助をしていたり,堤防をつくったりしていても津波や洪水は起きることがあるのかを知りたいです。

 

 このたいしくんのようにルールがよくわかっていない子どももいたことから,次の時間に確認が必要だと思いました。ただ,たいしくんの問いはみんなで考えてみたい問いだと思います。

 

 今回は,子どもたちの振り返りを基に授業紹介を行いました。子どもたちが活動を通して学んでいく様子が少しでも分かっていただけたかなと思います。

 明日の授業も楽しみです。

 

さて,今年度の研究発表会はオンライン開催です。単元開きから前時,本時の動画と子どもたちに提示した資料やワークシート等も閲覧可能です。興味をもっていただいた方は,是非,下記URLからお申込みをお願いします。

 

イベント詳細 | 令和2年度熊本大学教育学部附属小学校研究発表会 (eventpay.jp)

 

熊本大学教育学部附属小学校 社会科部 村上 春樹

コメント